Vライバーの機材選びは、「どこまでやりたいか」と「どれくらい予算をかけられるか」で大きく変わります。
スマホだけの配信でも活動を始めることはできますが、多くの視聴者は映像のきれいさよりも先に「声の聞き取りやすさ」を重視するとされており、マイクを中心とした音声まわりの機材がリスナーの印象を大きく左右しやすいです。
この記事は、多くの人が利用していると考えられるミドルクラスPCや、フルHD・60fps対応Webカメラをひとつの目安として、「今の環境に何を足せばよいか」「どの順番でVライバー機材をアップグレードするとムダが少ないか」が判断できる内容となっています。
- 配信スタイル別の最低限必要なVライバー機材と、その優先度
- スマホ配信とPC配信の現実的なラインと、おおよその推奨スペック
- マイク/オーディオインターフェース/Webカメラの基本的な選び方
- スマホクーラーやキャプチャーボードなど、あると便利な追加機材の役割
- 〜3万円/〜10万円/10万円〜の予算別おすすめ構成例
最後まで読んでもらえば、スマホとイヤホンマイクから一歩踏み出したい人から、本格的なゲーム実況や長時間配信に挑戦したい人まで、自分の配信スタイルに合った機材プランを具体的にイメージできるようになるでしょう。
【一覧表】Vライバーに最低限必要な機材はこれだけ!

このセクションでは、Vライバー活動を始めるときに「最低限このVライバー機材があれば配信できる」と考えられるラインを一覧表で整理します。
最初から高価なVライバー機材を一式そろえる必要はありません
まずは絶対に必要なものとあると便利なものを切り分け、ムダな出費を抑えつつ、自分に合ったスタートラインを決めることを目指します。
「機材が多すぎて何を買えばいいか分からない」「パソコンを持っていないけれど、スマホだけで始められるのか知りたい」という方向けに、配信スタイル別に優先度をまとめました。
ここを読むことで、この記事後半で詳しく触れるマイクやオーディオインターフェース、Webカメラなどの詳細に進む前に、自分がどのレベルのVライバー機材をそろえたいかイメージしやすくなります。
まずは、スマホ配信・PC配信・ゲーム実況ありの3パターンに分けて、最低限の機材セットを一覧で確認してみてください。
| 配信スタイル | 必須機材 | 優先度 | 目安 |
|---|---|---|---|
| スマホで手軽に配信 | ・スマホ(配信アプリ・アバターアプリに対応) ・イヤホンマイク or マイク付きヘッドセット ・配信用アバターアプリ・トラッキングアプリ | スマホ:最優先 マイク:高 アプリ:高 | 多くの場合「スマホ+イヤホンマイク」だけでテスト配信が可能 |
| PCで雑談・歌メイン | ・配信に耐えられるスペックのPC ・USBマイク or XLRマイク+オーディオインターフェース ・Webカメラ(2Dアバターの表情トラッキング用) ・配信ソフト(OBS Studioなど) | PC:最優先 マイク:最重要 Webカメラ:中〜高 オーディオインターフェース:中 | 音質重視ならマイクとオーディオインターフェースに予算を寄せると効果的 |
| ゲーム実況・3Dモデル配信 | ・高負荷ゲームも動くPC(専用GPU搭載のゲーミングPC推奨) ・高音質マイク+オーディオインターフェース or ミキサー ・Webカメラ or 専用トラッキングカメラ ・キャプチャーボード(家庭用ゲーム機を配信する場合) ・配信・トラッキング・BGM用ソフト | PC:最優先 マイク:最重要 オーディオインターフェース/ミキサー:高 キャプチャーボード:ゲーム機配信なら必須 | 「PC性能+音質+接続機器」のバランスを意識して構成する |
どのスタイルでも「配信する端末(スマホかパソコン)」と「音声を届ける手段(マイク類)」は必ず必要になります。
そのうえで、アバターの表情をしっかり動かしたい場合はWebカメラ、家庭用ゲーム機の映像を取り込みたい場合はキャプチャーボード、といった形でVライバー機材が少しずつ増えていくイメージです。
次に、Vライバーとして「これだけあれば最低限の配信ができる」と考えられる基本セットと、「できればそろえたいプラスアルファ機材」を一覧表で整理します。予算感や購入の優先度を考えるときの参考にしてください。
| カテゴリ | 機材 | 役割・機能 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 配信端末 | スマホ or PC | 配信アプリや配信ソフトを動かし、動画や音声をインターネットに送る中枢となる機器 | 必須 |
| 音声 | マイク(イヤホンマイク可) | リスナーにあなたの声を届けるための機材。配信の聞きやすさに直結する要素 | 必須 |
| 映像・トラッキング | Webカメラ | 2D/3Dアバターの表情・動きをトラッキングし、配信画面に反映させる | 表情トラッキングをするなら重要 |
| 音質強化 | オーディオインターフェース | マイクの音を高音質でPCに取り込み、環境によってはノイズを抑え、音量を安定させやすくする | 音質にこだわるなら高 |
| 音声ミックス | ミキサー | マイク・BGM・ゲーム音など複数の音をバランスよく混ぜる | 歌枠・コラボ・ゲーム実況向け |
| 映像取り込み | キャプチャーボード | 家庭用ゲーム機や別PCの映像を配信PCに取り込む | ゲーム機配信をする場合のみ必須 |
| 快適さ | モニターアーム・チェア・スマホクーラーなど | 長時間配信の疲れを軽減し、発熱や姿勢などに起因する機材トラブルを減らす | 余裕があれば導入したい |
最低限の「今すぐ配信できる」ラインは、スマホ配信なら「スマホ+イヤホンマイク+アバターアプリ」、PC配信なら「PC+USBマイク+Webカメラ+配信ソフト」といった構成が一つの目安です。
そこから一歩進んで音質を良くしたい場合は、オーディオインターフェースやミキサーを追加し、接続方法を整えていくイメージだと、無理のない機材選びがしやすくなります。
また、最初からすべてのVライバー機材を完璧にそろえる必要はありません。
活動を続けながらリスナーの反応を見て、「歌枠を増やしたい」「ゲーム実況もやってみたい」と感じたタイミングで、少しずつ機材をアップグレードしていく方が結果的に失敗が少ないでしょう。
ここまでで、Vライバーに必要な機材の全体像と、どのVライバー機材がどれくらい重要なのかが大まかにつかめたと思います。
次のセクションでは、特に配信の土台となる「PC・スマホ」の選び方を、2D・3Dモデルやゲーム実況の場合の違いも含めて詳しく解説していきます。
Vライバー機材の選び方①:まずは絶対必要な「PC・スマホ」
このパートでは、Vライバー活動の土台となる「PC・スマホ」というVライバー機材をどう選ぶかを整理します。
このセクションでは、まずスマホ配信のメリットとデメリットを整理し、続いて2Dモデル・3Dモデル・ゲーム実況という3つのスタイル別に、PCの推奨スペックの目安を見ていきます。
自分のやりたい配信スタイルと照らし合わせて、どのレベルのVライバー機材が必要かをイメージしてみてください。
| 配信スタイル | 端末の目安 | できること | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| スマホ配信 | 2〜3年前までに発売されたミドル〜ハイエンド機種(エントリー機は非推奨) | ライトな2Dアバター配信、雑談、簡単な歌枠 | まずは低コストでVライバー配信を試したい人 |
| PC+2Dモデル | 一般的なクリエイター/ビジネス向けPCクラス(軽めなら内蔵GPUでも可) | Live2Dアバター配信、歌枠、BGM・SEを混ぜた配信 | 継続的に活動し、音質や演出も整えたい人 |
| PC+3Dモデル+ゲーム実況 | 専用GPU搭載のゲーミングPC | 3Dモデル配信、高画質ゲーム実況、複数ソフト同時起動 | 本格的にVライバーとして活動したい人 |
このように、「どこまでやりたいか」によって必要な端末スペックは大きく変わります。
次の見出しから、スマホとPCそれぞれの選び方や、他のVライバー機材とのバランスを、もう少し具体的に見ていきましょう。
スマホ配信のメリット・デメリットとおすすめ機種
スマホ配信は、Vライバー活動を最小限の機材と費用で始めたい人にとって、もっとも手軽な選択肢です。
すでに持っているスマホを使えば、新たなVライバー機材として必要なのはマイク付きイヤホン程度で済む場合も多く、配信アプリとアバターアプリを入れるだけで、その日からでも配信を始められるでしょう。
まずは、スマホ配信のメリットとデメリットを整理しておきましょう。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 初期費用 | PCを購入しなくてもよく、機材投資を大きく抑えられる | のちにPC配信へ移行する際は、改めてPC購入費用が発生する |
| セッティング | 対応アプリを入れてログインするだけで配信できることが多い | 画面レイアウトや音声ミックスなど、細かいカスタマイズはPCよりしづらい |
| 安定性 | 対応アプリ同士なら接続がシンプルでトラブルが比較的少ないとされる | 端末の発熱やバッテリー消耗で、長時間配信が不安定になりやすい |
| 拡張性 | ライトな雑談や歌枠なら十分にこなせる | 3Dモデルや高負荷ゲーム実況など、高度な配信には基本的に不向き |
スマホ配信の一番の魅力は、「思い立ったらすぐに始められること」です。たとえば通勤前や就寝前に、ベッドの上でスマホスタンドに立てて、イヤホンマイクを挿して雑談枠を開くといった、軽いスタイルでもVライバーとして活動できます。
一方で、端末が熱を持ちやすく、1〜2時間程度の連続配信でアプリが落ちる、映像がカクつくといった相談もよく見られます。
特にアバターのトラッキングと配信アプリを同時に動かす場合は、スマホにかなりの負荷がかかると考えておきましょう。
- おおむね2〜3年前までに発売されたミドル〜ハイエンドクラス(価格帯が最安クラスのエントリーモデルは避ける)
- メモリ(RAM)が6GB以上、できれば8GB以上
- ストレージ(容量)に十分な空きがある(アプリや動画保存用)
- 普段から3Dゲームアプリを快適に遊べている程度の性能
具体的な機種名は年ごとに変わるため一概には言えませんが、iPhoneならナンバリングモデルの「無印」以上(Proシリーズを含む)、Androidなら各社のミドルレンジ〜フラッグシップモデルが一つの目安とされています。
公式の配信アプリやアバターアプリが「推奨端末」や「動作確認済み端末」を公開している場合もあるため、購入前に一度確認しておくのもいいでしょう。
スマホ配信で気をつけたいのが「発熱」と「バッテリー劣化」です。
配信アプリ、アバターアプリ、コメントビューアなどを同時に動かすと、どうしても負荷が高くなるので、長時間配信を考えているなら、次のような対策も検討してみてください。
- スマホクーラー(冷却ファン)や冷却シートを併用する
- 充電しながら配信する場合は、発熱が少ないとされる純正アダプターを使う
- Wi-Fiの電波が安定した場所で配信する(回線速度・安定性も重要)
スマホ配信は「始めやすい反面、拡張の限界も見えやすい」スタイルです。
活動が軌道に乗ってきたら、PC配信に対応できるVライバー機材を少しずつ揃えつつ、ステップアップするタイミングも意識しておくとよいでしょう。
PCの推奨スペックは?2D・3Dモデルやゲーム実況で変わる
PC配信を前提にVライバー機材を選ぶなら、やりたい配信内容に合わせて、必要十分なスペックを見極めることが重要です。
2Dアバターでの雑談配信と、3Dモデル+高画質ゲーム実況では、求められるPC性能は大きく異なるとされています。
ここでは、2Dモデル中心の配信と3Dモデル+ゲーム実況の二つのパターンに分けて、CPUやメモリ、グラフィック(GPU)の目安を整理します。
あくまで一般的な目安であり、実際に必要なスペックは使用するソフトやゲームの推奨環境にも左右される点には注意してください。
| 用途 | CPUの目安 | メモリの目安 | GPUの目安 | 想定するソフトや負荷 |
|---|---|---|---|---|
| 2Dモデル(Live2Dなど)+雑談・歌 | 一般的なノートPC向けの中級CPU以上(例:Core i5 / Ryzen 5クラス) | 16GB以上推奨 | 内蔵GPUでも可 | トラッキングソフト+配信ソフト+ブラウザ程度 |
| 3Dモデル+軽めのPCゲーム | ミドルクラス以上のCPU(例:Core i5〜i7 / Ryzen 5〜7クラス) | 16〜32GB | エントリー〜ミドルクラスの専用GPU | 3Dトラッキング+配信ソフト+軽めのゲームの同時起動 |
| 3Dモデル+高画質ゲーム実況 | ハイエンド寄りのCPU(例:Core i7〜i9 / Ryzen 7〜9クラス) | 32GB以上推奨 | ミドル〜ハイエンドのゲーミングGPU | 高負荷ゲーム+3Dトラッキング+BGMやミキサー連携 |
2Dモデル(Live2D)での雑談や歌配信だけであれば、最新のビジネス向けノートPCでも対応できるケースが多いとされています。
たとえば、Webカメラで表情をトラッキングしながら、配信ソフト(OBS Studioなど)とブラウザを立ち上げ、BGMを流しつつマイクで歌枠をする程度であれば、軽い設定なら内蔵GPUでも十分にこなせることが多いです。
ただし、同時に複数のソフトを動かす関係で、メモリは8GBでは心もとないため、16GB以上を前提に考えておくと安心です。
あとからメモリ増設が難しいノートPCを選ぶ場合は、購入時点で余裕を持った容量にしておくと、長く使いやすくなります。
一方で、3Dモデルをリアルタイムで動かしたり、高画質なゲーム実況をしながらVライバー配信をしたい場合は、専用のグラフィックボード(外付けGPU)を搭載したゲーミングPCがほぼ必須と考えられます。
3Dモデルのトラッキングソフト、ゲーム本体、配信ソフト、オーディオインターフェースの制御ソフトなどを同時に動かすため、CPUとGPUの両方に大きな負荷がかかるからです。
実際の配信現場では、次のような形で同時起動することが一般的です。
- PCゲームをフルHD以上の解像度でプレイしながら、OBS Studioなどで配信
- 3Dアバターをトラッキングするソフトを別ウィンドウで常時起動
- Discordなどの通話アプリやブラウザでコメント管理
この状態でカクつきやフリーズを防ぐには、ある程度余裕を持ったスペックのPCを選ぶことが大切です。
CPUやGPUの性能に加えて、冷却性能や電源容量も、長時間配信では影響が出やすいポイントになります。
PC選びで迷いやすいポイントとして、「ノートPCかデスクトップPCか」という問題もあります。
持ち運びを重視するならゲーミングノートPCという選択肢もありますが、同じ価格帯ならデスクトップPCの方が性能が高く、冷却性能も優れているえしょう。
自宅で腰を据えてVライバー活動をする予定なら、デスクトップPC+外部モニターの構成を検討してみてください。
また、マイクやオーディオインターフェース、ミキサーなどのVライバー機材をPCに接続する場合、USBポートの数や配置も重要です。
Webカメラ、マイク、オーディオインターフェース、キーボード、マウス、配信コントローラー(Stream Deckなど)と、USB機器は意外と増えがちです。
ハブを使う前提なら、給電能力に余裕がある商品を選び、オーディオ機器はできるだけ直接PCに挿すと、ノイズや接続トラブルを減らしやすいとされています。
あとから機材を追加することも考え、少し余裕のある構成にしておくと、配信スタイルを変えたくなった時にも対応しやすくなります。
まとめると、PCのスペックは「やりたいこと」から逆算して選ぶのが基本です。
2Dモデル中心なら一般的なクリエイター向けPCを候補にし、3Dモデル+ゲーム実況まで見据えるなら、専用GPU搭載のゲーミングPCを前提にしつつ、メモリとUSBポートの余裕も忘れずにチェックしておきましょう。
Vライバー機材の選び方②:最重要!リスナーの耳に残る「マイク」
このパートでは、Vライバー向け機材の中でも特に差が出やすい「マイク」の選び方を解説します。
PCやスマホが同じスペックでも、どのマイクとオーディオインターフェースを使うかで、配信の第一印象やチャンネル全体の雰囲気は大きく変わるとされています。
結論として、最低限の環境から一歩抜け出したいなら、専用マイクへの投資を最優先に考えるのがおすすめです。
スマホ付属のイヤホンマイクから、1万円前後のUSBマイクに変えるだけでも、「ノイズが減って聞きやすい」「声がはっきりした」といったコメントが付きやすくなったという声はよく見られ、Vライバー活動のモチベーションにもつながりやすくなります。
ここでは、なぜマイクが重要なのかという基本から、コンデンサーマイクとダイナミックマイクの違い、指向性や物理ミュートボタンなどの機能、初心者向けの具体的なマイク構成までを順番に整理していきます。
なぜマイクが重要?Vライバーは「声」が命
Vライバーにとってマイクが重要なのは、活動の中心が「声」と「リアクション」であり、リスナーがもっとも長く触れている情報が音声だからです。
アバターのクオリティやゲーム画面がどれだけ凝っていても、音質が悪い配信は長時間見てもらいにくく、チャンネル登録にもつながりにくいと言われています。
スマホ内蔵マイクや安価なイヤホンマイクだと、周囲の環境音やキーボードの打鍵音、エアコンの風切り音まで一緒に拾いがちです。
ノイズが多い配信は、リスナーが無意識のうちに疲れやすく、「なんとなく聞き続けるのがしんどい」という印象を持たれやすくなります。
専用マイクと、必要に応じて簡単なオーディオインターフェースで音を整えるだけでも、「この人の配信は落ち着いて聞ける」と感じてもらえる可能性が高まります。
配信サイトのコメント欄では、「声が聞き取りやすい」「マイク変えた? 前より良い」といった反応が出ることも多く、これは登録者数が少ない段階でも同じです。
実際に、PCなど他のVライバー 機材はそのままで、マイクだけ買い替えたところ平均視聴時間が伸びたという例も報告されています。
歌枠やセリフ読み、朗読配信など、声を前面に出すコンテンツを作りたい場合、マイクの音質はそのまま「作品のクオリティ」として伝わります。
感情表現のニュアンスや小さな息遣いまで届けたいなら、コンデンサーマイクとオーディオインターフェースの組み合わせを早めに検討しておくと良いでしょう。
とはいえ、最初から高価な機材を一気にそろえる必要はありません。
今の活動スタイルと予算のバランスを見ながら、「内蔵マイク → USBマイク → XLRマイク+インターフェース」というように、段階的にアップグレードしていく流れが現実的です。
次の項目では、最初の分かれ道になるコンデンサーマイクとダイナミックマイクの違いを整理します。
コンデンサーマイクとダイナミックマイクを徹底比較
Vライバーが配信用マイクを購入するとき、まず迷いやすいのが「コンデンサー」と「ダイナミック」のどちらを選ぶかという点です。
一般的な目安としては、静かな自室で活動するならコンデンサー、生活音が多い環境ならダイナミックという基準で選ぶと失敗しにくいとされています。
それぞれの特徴を、Vライバーの配信シーンに当てはめて比較してみましょう。
| 項目 | コンデンサーマイク | ダイナミックマイク |
|---|---|---|
| 音の傾向 | 高音までクリアで繊細。息遣いやニュアンスも拾いやすい | 中低音がしっかり、やや丸い音。厚みのある声になりやすい |
| 感度 | 高感度で小さな音も拾う | 感度は低めで、近距離の音を中心に拾う |
| 環境音 | キーボード・外の騒音なども入りやすい | 環境音は比較的入りにくい |
| 向いている配信 | 歌枠、囁き・セリフ読み、声劇、ASMR入門 | ゲーム実況、テンション高めの雑談、環境がうるさい部屋 |
| 取り扱い | 湿気・衝撃に弱く、取り扱いに注意が必要 | 堅牢でライブハウスなどでも使われるほど頑丈 |
| 必要な機材 | XLRタイプはファンタム電源が必要な場合が多い | 多くはファンタム電源不要でシンプル |
配信現場をイメージすると、コンデンサーマイクは「耳元で話しかけられているような距離感」を作りやすく、特に歌配信やささやき系の雑談と相性が良いとされています。
その一方で、PCのファンやエアコンの音も拾いやすいため、部屋の環境やマイクの設置場所を工夫しないとノイズが気になる場合があるようです。
ダイナミックマイクは、口元に近づけて使う前提のため、周囲の音を比較的カットしやすいのが強みです。
家族と同居していて生活音が入りやすい場合や、メカニカルキーボードで激しくゲームをプレイするVライバーには特に向いているでしょう。
音質はやや丸くなりやすいですが、そのぶん聞き疲れしにくいというメリットがあります。
どちらが絶対に良いということはなく、自分の声質・部屋の環境・配信内容によって向き不向きが変わります。
迷う場合は、まずUSB接続のコンデンサーマイクから始めて、環境音が気になるようならダイナミックマイクを試すというステップで選ぶと、Vライバー 機材にかける予算を抑えつつグレードアップしやすくなるでしょう。
音を拾う範囲を決める「指向性」も重要なポイント
マイク選びでは種類だけでなく、「どの方向の音をどれだけ拾うか」を決める指向性も大事です。Vライバー配信であれば、基本は単一指向性(カーディオイド)を選んでおけば問題ないとされます。
代表的な指向性と、それぞれの向き・不向きを表にまとめます。
| 指向性の種類 | 特徴 | 向いている配信スタイル | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 単一指向性(カーディオイド) | マイク正面の音をメインで拾い、背面は拾いにくい | 一人での雑談、歌枠、ゲーム実況など一般的なVライバー配信 | 口元の位置がズレると音量が変わりやすい |
| 超単一指向性(スーパーカーディオイドなど) | 正面の狭い範囲に強く反応し、側面の音を抑える | 騒がしい環境での配信、イベント会場、コラボ収録 | マイクの向き調整がシビアで、扱いに慣れが必要 |
| 無指向性(オムニ) | マイクの周囲360度から均等に音を拾う | 複数人でテーブルを囲む雑談、会議配信 | 環境音もすべて拾うため、自宅Vライバーには基本不向き |
| 双指向性(バイディレクショナル) | 前後2方向からの音を拾う | マイクを挟んだ対面トーク、インタビュー形式の動画 | 横方向からの音は弱く、セッティングに工夫が必要 |
自宅で一人配信をするVライバーの場合、ほとんどのシーンで単一指向性がベストな選択肢になりやすいです。
マイクを自分の口元に向けて設置し、キーボードやPCファン、エアコンはできるだけマイクの背面側に来るように配置すると、余計な音を抑えやすくなります。
実際の配信では、単一指向性マイクを口元からこぶし1〜2個分ほど離し、ポップガードを挟んだ状態で話すスタイルが定番です。
こうすることで、「パ行・バ行」などの破裂音を抑えつつ、自分の声だけを安定して収音できます。
ゲーム実況をする場合も、マイクとキーボードの位置関係を少し調整するだけで、カチャカチャ音の入り方がかなり変わります。
最近のUSBマイクの中には、ボタンひとつで指向性を切り替えられる多機能モデルもありますが、最初の1本としては単一指向性固定のシンプルなモデルで十分なケースが多いです。
複数人コラボの現地収録や会議配信など、特殊なシチュエーションが出てきた段階で、無指向性や双指向性に対応したマイクを追加する流れの方が、Vライバー 機材を無駄なくそろえやすくなります。
配信中のトラブルを防ぐ「物理ミュートボタン」の有無も大事
マイクを選ぶときに見落としがちですが、意外と重要なのが「物理ミュートボタン」や「本体ボリュームつまみ」の有無です。
突然の生活音や咳込みにすぐ対応したいVライバーにとって、ワンタッチでマイクを切れる安心感は大きなポイントになります。
配信中は、OBSなどの配信ソフト、コメントビューア、アバター用トラッキングソフト、ゲーム画面など、複数のウィンドウを同時に操作していることが多いです。
その状態でキーボードショートカットやマウス操作だけでミュートしようとすると、押し間違いや操作の遅れが起こりやすく、「くしゃみの音がそのまま入ってしまった」「家族の声が乗ってしまった」といったトラブルにつながることもあります。
- ボタンを押すとLEDの色が変わり、ミュート状態が一目で分かるモデル
- マイク天面にタッチ式のミュートセンサーがあり、軽く触れるだけでオン/オフできるモデル
- 本体のゲインつまみで、マイク入力の音量を直感的に調整できるモデル
このようなマイクをVライバー 機材として選んでおくと、「少し声が大きすぎたかも」と感じたときにも即座に調整でき、オーディオインターフェースやミキサー側のつまみを探す手間も減らせます。
Vライバー活動を続けていくと、事務所所属や企業案件など、よりフォーマルな配信の機会が訪れる可能性もあります。
その際、「不意の生活音を確実に切れるか」「とっさにマイクをオフにできるか」は、相手からの信頼感にも関わる部分です。
最初のマイク購入時から、物理ミュートボタンの有無はスペック表で確認しておくと安心でしょう。
オーディオインターフェースやミキサー側にミュートボタンが付いている場合は、そちらをメインに操作しても問題ありません。
ただし、PCソフト・インターフェース・マイクのどこか一箇所には「物理的にマイクを切れるポイント」を用意しておくことを意識しておきましょう。
初心者におすすめのマイク製品
最後に、これからVライバーを始める人向けに、予算や接続方式ごとに選びやすいマイク構成を紹介します。
具体的な型番や流行のモデルは年ごとに変わるため、ここでは「どのような商品ジャンルを選べば良いか」という観点で、Vライバー 機材をそろえるときの目安として参考にしてください。
予算と配信スタイルごとの、おおまかな選び方は次の通りです。
| 予算・段階 | おすすめ構成 | 特徴 | 向いているVライバー像 |
|---|---|---|---|
| 〜5,000円 | エントリークラスのUSBコンデンサーマイク | PCや対応スマホに直接接続してすぐ使える。内蔵マイクより音質が大きく改善しやすい | まずは低コストで配信の音質を底上げしたい人 |
| 5,000〜15,000円 | 単一指向性のUSBコンデンサーマイク(スタンド付き) | 配信用にチューニングされたモデルが多く、物理ミュートやゲインつまみ付きも豊富 | 雑談・歌枠・ゲーム実況をバランス良く行いたい人 |
| 15,000〜30,000円 | XLRコンデンサーマイク+エントリークラスのオーディオインターフェース | ノイズの少ない本格的な音質を目指しやすい。将来的な機材拡張がしやすい | 歌配信や動画投稿(歌ってみた)にも力を入れたい人 |
| 〜30,000円前後(環境がうるさい場合) | XLRダイナミックマイク+オーディオインターフェース | 環境音を抑えつつ、太めの声を作りやすい。ゲーム実況との相性も良いとされる | 家族と同居・道路沿いなどで静かな環境を作りにくい人 |
最初の一歩としては、USB接続の単一指向性コンデンサーマイクがもっとも扱いやすく、費用対効果も高いケースが多いです。
スタンドやポップガードがセットになった「配信向けスターターキット」も多く販売されており、PCに挿すだけで配信を始められます。
スマホ配信の場合は、メーカーが動作確認している「スマホ対応USBマイク」や「TRRS端子対応マイク」を選び、必要に応じて純正のカメラアダプターなどを併用してください。
スマホとの接続可否はOSバージョンや機種によって異なるため、事前に公式の対応情報を確認しておくと安心です。
活動が続いて音質にもっとこだわりたくなったら、XLR接続のマイクとオーディオインターフェースの組み合わせにステップアップするのがおすすめです。
インターフェース側でゲインやモニター音量を細かく調整できるほか、将来的に外部ミキサーやエフェクターを追加することもでき、Vライバー 機材としての表現の幅が広がります。
どの段階でも共通して言えるのは、「自分の環境と配信スタイルに合ったマイクを選ぶこと」が何より大切という点です。
商品レビューや他のVライバーが使っている機材例も参考にしつつ、無理のない予算の範囲で、少しずつ機材をアップデートしていきましょう。
次のセクションでは、マイクの性能をさらに引き出すためのオーディオインターフェースとミキサーの選び方を詳しく解説します。
Vライバー機材の選び方③:音質を向上させる「オーディオインターフェース・ミキサー」
このパートでは、マイクの性能をできるだけ引き出し、リスナーにとって聞き取りやすい「プロっぽい音」に近づけるためのオーディオインターフェースとミキサーの選び方を解説します。
| 機材 | 主な役割 | 向いている配信スタイル | 初心者へのおすすめ度 |
|---|---|---|---|
| オーディオインターフェース | マイク音声をPCにデジタル信号として送り、ヘッドホン音を管理する | 雑談・歌枠・ゲーム実況などほぼすべて | ◎:XLRマイクを使うなら基本的に必要 |
| アナログミキサー | 複数の音(マイク・BGM・楽器など)をまとめて音量調整する | 複数人コラボ・歌ってみた収録・楽器ありの配信 | ○:用途がはっきりしてから導入するのがおすすめ |
| 配信向けデジタルミキサー/オーディオミキサー | インターフェース+ミキサー+簡易エフェクトを1台に集約 | 歌枠中心、声にエコーやエフェクトを多用する配信 | ○:やりたいことが明確なら導入を検討 |
どちらも一見むずかしそうなVライバー機材ですが、役割を理解して基本的な設定だけ押さえておけば、音質がはっきり変わるとされています。
結論として、XLR接続のマイク(いわゆるオーディオ用マイク)を初めて購入する場合は、シンプルなオーディオインターフェースを1台用意しておくと安心です。
ここでは、オーディオインターフェースがなぜ必要とされるのか、ミキサーとの違い、BGMや効果音を流すための基本的な接続方法とループバック機能、最後にVライバー向けの代表的なモデルの選び方の目安を整理します。
オーディオインターフェースはなぜ必要?ノイズを減らしクリアな音声に
オーディオインターフェースは、アナログ信号を、PCや配信ソフトで扱えるデジタル信号に変換するための機材です。
XLRマイクを使うVライバーにとっては、事実上の必需品と考えられています。
パソコンのマイク端子に直接つなぐことも一応できますが、一般的なPCの内蔵オーディオ回路はノイズに強くはなく、入力レベル(音量)が足りないことも多いです。
インターフェースを通すことで、十分なゲイン(音量)の確保・ホワイトノイズなどの低減・左右のバランスの安定といった、リスナーが「聞きやすい」と感じる条件を満たしやすくなります。
たとえば、コンデンサーマイクとUSB接続のエントリークラスのオーディオインターフェースを組み合わせるだけでも、「声がこもりにくい」「サーッというバックノイズが減った」と感じる人が多いです。
歌枠や朗読配信では、息遣いや細かいニュアンスまで拾いつつ、耳障りなノイズを抑えられるため、そのまま動画投稿に使いやすい音声が録りやすくなります。
オーディオインターフェースには、ヘッドホン出力やダイレクトモニター機能(自分の声を遅延なく聞く機能)が備わっているモデルが多いです。
自分の声をリアルタイムで確認しながら配信できるので、「思ったより小さく聞こえていた」「BGMに声が埋もれていた」といったトラブルも減らしやすくなります。
配信用のVライバー機材として購入するなら、次のポイントを確認しておきましょう。
- XLRマイクを挿せる入力数(1〜2chあれば一般的な個人Vライバーには十分なことが多い)
- ファンタム電源(+48V)対応かどうか(多くのコンデンサーマイクで必要)
- ヘッドホン出力と音量つまみの有無
- ループバック機能の有無(後ほど詳しく触れます)
USBマイクだけで活動する場合は、オーディオインターフェースは必須ではありません。
ただ、「今後XLRマイクにステップアップしたい」「歌ってみた動画も録りたい」と考えているなら、早めに1台導入しておくと機材の組み合わせが広がり、長く使い回しやすくなります。
オーディオインターフェースとミキサーの違いと役割
オーディオインターフェースとミキサーは混同されがちですが、インターフェースは「PCとの橋渡し」、ミキサーは「複数の音をまとめる装置」と覚えておくと整理しやすくなります。
Vライバーの配信環境での役割の違いを、用途ごとに整理してみます。
| 項目 | オーディオインターフェース | ミキサー |
|---|---|---|
| 主な役割 | アナログ音声をデジタルに変換しPCへ送る | 複数の入力の音量・バランス・EQなどを調整 |
| 必要になる場面 | XLRマイクをPCに接続したいとき | マイク2本以上/BGM機器/楽器などを同時に扱うとき |
| 接続先 | 主にPC(USBなど) | インターフェース、PC、スピーカーなど |
| 操作の複雑さ | つまみが少なくシンプルなモデルが多い | チャンネル数に応じてつまみやフェーダーが増え、複雑になりがち |
| Vライバーへのおすすめ度 | ◎:まずここから導入 | △〜○:複数人配信や楽器配信をする人向け |
個人のVライバー活動で、マイク1本・BGMはPCから流すだけという構成なら、オーディオインターフェースだけで足りるケースがほとんどです。
OBSなどの配信ソフト側で音量バランスを整えられるため、最初からミキサーを購入しなくても問題なく配信できます。
- 同じ場所で2〜3人がそれぞれ別のマイクを使って雑談する
- オフラインイベントで会場スピーカーと配信を同時に鳴らしたい
- キーボード・ギターなどの楽器を接続しながら歌枠を行う
最近は、「配信用オーディオミキサー」と呼ばれる、インターフェースとミキサー、さらにボイスチェンジャーやリバーブなどのエフェクト機能を1台にまとめた商品も増えています。
こうしたモデルは費用は少し上がりますが、「機能をひとまとめにしたい」「エフェクトを多用したい」Vライバーには相性の良い選択肢です。
どの機材を購入するか迷ったら、「マイクは何本使うか」「外部機材(楽器や別PC)はあるか」「現地イベントを想定しているか」の3点で考えると判断しやすくなります。
多くの個人勢や事務所所属の新人ライバーであれば、まずはUSB接続のオーディオインターフェース1台から始めるのが、コストと扱いやすさのバランスが取りやすいと言えるでしょう。
BGMや効果音を流すための接続方法とループバック機能
配信でBGMや効果音、ゲーム音を扱うなら、「自分にだけ聞こえる音」と「リスナーにも届けたい音」をどうミックスするかを意識する必要があります。
そのときにポイントになるのが、接続の基本パターンとループバック機能です。
もっともシンプルな構成は、PC1台+オーディオインターフェース+マイク+ヘッドホンという形です。
この場合、BGMや効果音はすべてPC側(ブラウザ・音楽プレーヤー・配信ソフトなど)から再生し、オーディオインターフェースは「マイク音声をPCへ送る」役割に専念します。
OBSなどの配信ソフトで、マイク音声とデスクトップ音声の音量バランスを調整すれば、ひとまず配信は成立します。
ここで便利なのが、ループバック機能付きのオーディオインターフェースです。
ループバックとは、「PCから出ている音(BGMやゲーム音など)を、インターフェース側で一度取り込み、マイク音声とまとめて配信ソフトに送り返す機能」を指します。
- 配信ソフトごとに複雑な音声ルーティングを組まなくてよい
- インターフェース側のつまみだけで、マイクとBGMのバランスを調整できる
- 歌枠やカラオケ配信で、自分の歌声と伴奏を簡単にミックスしやすい
といったメリットがあります。
実際の接続イメージとしては、「マイク → インターフェース → PC(配信ソフト)」という流れに加え、「PCの音 → インターフェース(ループバック) → PC(配信ソフト)」というルートが1本増えるイメージです。
ループバック対応モデルであれば、ドライバーや専用ソフトで「ループバックON/OFF」を切り替えるだけで設定が完了することも多く、配信初心者でも扱いやすい傾向があります。
- 仮想オーディオデバイス(例:VB-Audio系ソフトなど)を導入して、PC内で音をミックスする
- 別のミキサーを用意し、物理的にマイク音とBGMをまとめてからPCへ送る
上記のような方法もありますが、設定が複雑になりがちです。
Vライバー機材として快適な環境を目指すなら、最初からループバック機能付きのオーディオインターフェースを選んでおくと、後から悩みにくくなります。
ゲーム実況で「ゲーム音は少し小さめ・自分の声ははっきり」というバランスを作りたい場合は、インターフェース側のモニターつまみと、配信ソフト側のフェーダーの両方を少しずつ動かしながら、録画テストで確認すると失敗も減るでしょう。
短いテスト動画を録ってチェックする習慣をつけておくと、本番での音量トラブルをかなり防ぎやすくなります。
定番・おすすめのオーディオインターフェース製品例
最後に、これからVライバーとして本格的に配信や動画制作を行いたい人向けに、用途別の選び方の目安を整理します。
具体的な型番は年ごとに入れ替わることが多いため、ここでは「どのようなスペック・価格帯のモデルを選べば良いか」という観点で参考にしてください。
| 予算・段階 | おすすめスペックの目安 | 特徴 | 向いているVライバー像 |
|---|---|---|---|
| 〜10,000円前後 | マイク入力1ch/ヘッドホン出力/ファンタム電源対応 | エントリーモデル。シンプルな構成でコスパ重視 | 初めてXLRマイクを購入する個人勢ライバー |
| 10,000〜25,000円前後 | マイク入力1〜2ch/ループバック機能/ダイレクトモニター | 配信向けに必要な機能が一通り揃う定番クラス | 雑談・歌枠・ゲーム実況をバランス良く行いたい人 |
| 25,000〜40,000円前後 | 高品質プリアンプ/専用ソフトミキサー/複数の出力系統 | 録音品質が高く、歌ってみた動画制作にも十分対応しやすい | 歌配信・ボーカル録音を重視するVライバー |
| 配信向けミキサー一体型 | インターフェース+エフェクト+サンプリングパッドなど | 1台でエコー・ボイスチェンジ・SE再生まで完結 | 声色を変えたい・ワンタッチで効果音を出したい人 |
エントリークラスでは、国内メーカーの配信用インターフェースや、DTM向けの定番モデルが多数あります。
「ループバック対応」「配信用」と明記されている商品を選ぶと、OBSや各種配信ソフトとの相性も良く、設定マニュアルも比較的充実しているため安心です。
歌枠や「歌ってみた」動画にも力を入れたい場合は、プリアンプ性能がしっかりした中堅クラスのインターフェースを選ぶと、コンデンサーマイクのポテンシャルを引き出しやすくなります。
マイク入力が2ch以上あるモデルであれば、将来的にデュエット配信やオフラインコラボ収録にも対応しやすくなるでしょう。
一方、配信向けミキサー一体型のモデルは、ボイスチェンジャーやエコー、ワンタッチでSEを鳴らせるパッドなど、「Vライバーならでは」の機能が充実しています。
費用は上がりますが、「アバターのキャラに合わせて声色を変えたい」「ワンボタンでジングルや拍手音を出したい」といった演出を重視する人には向いている選択肢です。
最終的には、自分の配信スタイル・予算・今後の活動の広げ方を踏まえて、「まずはシンプルなインターフェース1台」から始めるのがおすすめです。
マイクと同様、いきなり完璧なVライバー機材を揃える必要はありません。少しずつ環境をアップデートしながら、自分にとって扱いやすい機材の組み合わせを見つけていきましょう。
Vライバー機材の選び方④:表情トラッキングを支える「Webカメラ」
このパートでは、Vライバー活動でアバターの表情トラッキングを行うために重要なWebカメラの選び方を整理します。
PCやマイク、オーディオインターフェースと比べると目立たない機材に見えますが、Webカメラの性能次第で「表情のなめらかさ」「口パクの精度」「視線の自然さ」が変わりやすいとされています。
| 用途 | おすすめWebカメラの目安 | 重視したいポイント | 想定するVライバー像 |
|---|---|---|---|
| 雑談・軽いゲーム配信 | フルHD(1080p)/30fpsクラス | 基本的な画質・オートフォーカス | 個人勢の入門・初配信デビュー |
| 2Dモデルの表情トラッキング | フルHD/60fpsクラス | 高フレームレート・明るさ補正 | Live2Dで表情をしっかり動かしたい人 |
| 3Dモデル・歌枠・企画配信 | フルHD〜4K/最大60fpsクラス | 広い画角・色の再現性・低遅延 | 事務所所属・ガチ勢のVライバー |
結論として、PC配信で2D/3Dアバターを安定して動かしたいVライバーは、外付けのWebカメラを1台用意しておくと安心です。
ここでは、Vライバー機材の中でWebカメラが担う役割とメリット、フレームレートと解像度の選び方、最後に配信向けのクラス分けの目安を表で整理します。
自分の予算と配信スタイルに合わせて、ムダなくコスパの良い1台を選びましょう。
Webカメラの役割:Vライバー活動における必要性とメリット
VライバーにとってWebカメラは、自分の顔の動きや表情をアバターに伝える「センサー」の役割を担う機材です。
配信ソフトやトラッキングソフトが、Webカメラの映像から目や口、顔の角度などを読み取り、リアルタイムでアバターに反映します。
とくに2D(Live2D)や3Dモデルを使う配信では、このトラッキング精度が「キャラクターの生き生き感」を大きく左右すると言われます。
表情が固まっていたり、口パクが音声とズレていたりすると、せっかくマイクやオーディオインターフェースなど他のVライバー機材で音質を整えても、全体のクオリティが下がってしまいます。
ノートパソコンに内蔵されたカメラでもトラッキング自体は可能ですが、画素数や明るさ補正の性能が機種によって大きく異なり、暗めの部屋では顔がつぶれて認識しづらいことがあると指摘されています。
外付けのWebカメラを購入して、明るさの自動補正やノイズリダクションに対応したモデルを使うと、同じ環境でも表情の検出率が改善しやすくなります。
たとえば、夜に部屋の照明だけで配信しているケースを想像してみてください。
内蔵カメラだと顔全体が暗くなりがちですが、外付けカメラなら顔の輪郭や目元がはっきり映り、まばたきやウインクも安定して拾ってくれる場合が多いでしょう。
歌枠で感情を込めて歌ったとき、アバターの目元や口元がしっかり動くと、リスナーにも「今、楽しそうに歌っているんだな」と伝わりやすくなります。
- トラッキングソフトのプレビュー画面で、自分の表情とアバターの動きを同時に確認できる
- OBSなどの配信ソフトで、アバターとは別に「手元カメラ」や「グッズ紹介用カメラ」としても流用できる
- 必要に応じて顔出し動画や事務所向けのオーディション用動画の撮影にも使える
Vライバー機材の中では比較的費用を抑えやすいパーツなので、PC配信をするならマイクと合わせて早めに投資しておきたい機材と言えるでしょう。
Webカメラの選び方:フレームレートと解像度の重要性
Webカメラ選びでVライバーが優先したいのは、フレームレート(fps)と解像度のバランスです。
どちらも単純に「数値が高ければ良い」というわけではなく、配信スタイルやパソコンの性能に合わせて決めることが大切になります。
フレームレートとは、1秒間に何枚の画像を撮影・送信できるかを示す指標で、数値が高いほど動きがなめらかになります。
雑談配信や軽いゲーム実況であれば30fpsでも大きな問題は出にくいとされますが、顔の向きや細かい表情をしっかりトラッキングしたいVライバーには、60fps対応モデルが向いているケースが多いです。
実際、30fpsのカメラでは首を横に振ったときにアバターの動きが少しカクつくことがあります。
これが60fpsになると滑らかに追従しやすくなり、歌枠でリズムに合わせて体を揺らしたり、驚きのリアクションで大きくのけぞったりする場面でも、違和感の少ない動きが表現しやすくなります。
一方、解像度は「どれだけ細かく映像を描写できるか」を示す指標で、配信向けWebカメラではフルHD(1920×1080)を基準に考えると良いでしょう。
4K対応モデルもありますが、表情トラッキング用途だけであればフルHDで十分とされる場面が多く、4Kは「顔出し動画も高画質で撮りたい」「手元カメラとして商品の細部を映したい」といった用途を重視する人向けというイメージです。
ただし、フレームレートや解像度を上げるほど、PC側の負荷やUSB帯域の使用量も増える点には注意が必要です。
ゲーム配信で既にGPUやCPUに負荷がかかっている状態で、4K/60fpsクラスのWebカメラを同時に動かすと、配信ソフトが重くなってしまうことがあります。
- 自分のPCスペック(CPU・GPU・メモリ)と、同時に動かすゲームやソフトの負荷
- 使っているトラッキングソフトが推奨している解像度・フレームレート
- 配信プラットフォーム(YouTube、Twitchなど)の配信ビットレート上限
迷ったときは、「1080p/60fpsに対応しつつ、ソフトウェア側で30fpsにも落とせるモデル」を選ぶと、その時々の配信内容に合わせた柔軟な設定がしやすくなります。
おすすめのWebカメラ製品例
最後に、Vライバー向けにWebカメラを選ぶときの「価格帯ごとの目安」を表にまとめます。
具体的な型番は年ごとに新しいモデルが登場し入れ替わるため、ここではどのクラスのWebカメラを選ぶと、どんな配信スタイルに向きやすいかという観点で参考にしてください。
| 予算・クラス | スペックの目安 | 特徴 | 向いているVライバー像 |
|---|---|---|---|
| 〜5,000円前後 | 720p〜1080p/30fps | エントリー向け。最低限の表情トラッキングが可能 | まずはPC配信を試してみたい初心者ライバー |
| 5,000〜12,000円 | 1080p/30〜60fps/オートフォーカス | 配信向けの標準クラス。コスパと画質のバランスが良い | 2Dモデルで安定した表情トラッキングをしたい人 |
| 12,000〜25,000円 | 1080p〜4K/最大60fps/高性能レンズ | 暗所性能や色再現が高く、動画撮影にも十分対応 | 歌枠・企画配信・動画投稿も本格的に行いたい人 |
| 配信特化モデル | 配信用ソフト同梱/背景ぼかし・自動画角調整など | 配信ソフトとの連携がしやすく、初期設定が簡単なものが多い | 機材設定に時間をかけたくない事務所所属・個人勢 |
エントリークラスでも、1080p対応であれば多くのトラッキングソフトとの接続自体は問題なく行えることが一般的です。
ただ、「暗いと顔がザラつく」「動きの追従がややもたつく」といった弱点が出やすい点は理解しておきましょう。
夜間配信が多いVライバーや、ゲーム画面とアバターを同時に出したい場合は、5,000〜12,000円クラスのフルHDで最大60fpsに対応したモデルから検討すると安心です。
歌枠や「歌ってみた」動画の収録も行いたい人は、12,000円以上の中堅クラスを選ぶと、色味やコントラストの表現力が上がり、アバターの見た目もより鮮やかに表示されやすくなります。
将来的に顔出し動画や商品レビュー動画など、Vライバー以外の活動に広げたい人にとっても、画質の良いWebカメラは長く使えるVライバー機材の一つになるでしょう。
なお、Webカメラを購入したら、トラッキングソフト側のキャリブレーション(初期位置合わせ)をしっかり行うことも重要です。
マイクやオーディオインターフェースの音量調整と同じように、カメラの画角や明るさ、設置位置を少しずつ調整しながらテスト配信を行うと、自分のアバターがより自然に動くベストポジションが見つかりやすくなります。
自分のPCスペックと予算、配信スタイルを踏まえて、無理のない範囲で1ランク上のモデルを選んでおくと、今後の活動の幅が広がりやすくなります。
音質だけでなく見た目のクオリティも整えることで、Vライバーとしての世界観をより魅力的に届けていきましょう。
【目的別】あると配信が快適になるプラスα機材
ここでは、Vライバー活動をより快適にするための「あると便利なプラスα機材」を目的別に整理します。
マイクやPC・スマホ、オーディオインターフェースのような「配信開始の時点で必ず必要な」Vライバー機材ではありませんが、配信の安定性・操作性・居心地を一気に底上げしてくれるアイテムです。
具体的には、スマホ配信向けの冷却・接続機材、長時間配信で体への負担を減らすアイテム、ゲーム実況用のキャプチャーボード、配信操作をスムーズにするコントローラー、そして自宅の防音対策グッズを目的別に紹介します。
| 目的 | 機材 | 主な効果 | おすすめのVライバー像 |
|---|---|---|---|
| スマホ配信の安定化 | スマホクーラー/純正カメラアダプター | 発熱・強制終了の発生リスク軽減/音質・映像の拡張 | スマホ1台で長時間配信したい人 |
| 長時間配信の疲労軽減 | モニターアーム/チェア | 姿勢改善・首肩や腰への負担軽減 | 毎日数時間以上配信する個人勢・事務所所属 |
| ゲーム実況 | キャプチャーボード | 家庭用ゲーム機の映像・音声取り込み | SwitchやPSのゲーム配信をしたい人 |
| 配信操作の快適化 | Stream Deckなどのコントローラー | ワンタッチでシーン切り替え・BGM再生 | 演出や切り替えが多い企画配信をする人 |
| 自宅の音対策 | 防音パネル・吸音材など | 近所・家族への音漏れ軽減が期待できる/声の反響の抑制 | 賃貸住み・夜間配信が多いライバー |
どれも「今すぐ絶対必要」というものではありませんが、配信でよくある悩み(スマホの熱・体の痛み・近所迷惑・操作の手間)をピンポイントで対策しやすいVライバー向け機材です。
次の項目では目的別にもう少し詳しく見ていきましょう。
スマホ配信の必需品「スマホクーラー」と「純正カメラアダプター」
スマホだけで配信するVライバーにとって、スマホクーラーと純正カメラアダプターは「安定した長時間配信」をしやすくするうえで、優先度が高い機材と言えます。
PCを持っていなくても、これらをそろえておくと、配信の途中でアプリが落ちたり音質が悪化したりするトラブルを減らしやすくなるでしょう。
スマホクーラーは、スマホの背面に取り付けてファンやペルチェ素子などで冷却するアクセサリーで、ゲーム配信や高画質配信で発生しやすい本体の発熱を抑える役割があります。
発熱がひどくなると、スマホが自動で性能を落としたり、アプリが強制終了したりすることがあり、歌枠や長時間雑談の途中で配信が途切れてしまうことも…。
とくに、YouTubeやTwitchアプリで画質を上げて配信しながら、裏でトラッキングソフトやコメントビューアを動かしていると、1時間もしないうちに本体がかなり熱くなることがあります。
スマホクーラーを使うと背面から効率的に熱を逃がすことができて配信アプリが安定しやすくなり、夏場でも比較的安心して長時間のVライバー活動がしやすくなります。
一方、純正カメラアダプター(Lightning-USBカメラアダプタやUSB-C用の純正アダプタなど)は、スマホにUSBマイクやオーディオインターフェースを接続するための公式変換アダプターです。
安価な非純正品もありますが、給電が不安定だったり、マイクやミキサーを認識しないケースが報告されることもあるため、配信用途では純正品を使った方が動作面で安心とされています。
- PC向けのUSBコンデンサーマイクをスマホに接続して高音質配信ができる
- オーディオインターフェース経由で、BGM・効果音・ボイスチェンジャーをミックスしてスマホ配信に送れる
- 給電しながら配信できるモデルなら、長時間配信でもバッテリー切れを防ぎやすい
すでにPC配信用にマイクやオーディオインターフェースを購入している人は、カメラアダプターを1つ追加するだけで、スマホ配信とPC配信の両方で同じ音質・同じ機材構成を使い回せるようになります。
スマホ配信がメインのVライバーは、「スマホクーラー → 純正カメラアダプター → 外部マイクやオーディオインターフェース」の順でそろえていくと、費用を抑えつつ安定した環境を整えやすいです。
長時間配信の疲れを軽減する「モニターアーム・チェア」
毎日のように数時間以上配信するなら、モニターアームと配信用チェアは「健康を守るための投資」と考えておくのがおすすめです。
PCやマイクのように直接音質や画質を変えるVライバー機材ではありませんが、姿勢が崩れにくくなり、首・肩・腰への負担を大きく減らせるとされています。
モニターアームは、ディスプレイをアームで支え、高さ・奥行き・角度を調整できるスタンドです。
アバターの表情トラッキング用カメラをディスプレイ上に設置する場合、モニターの高さが合っていないと常に下を向いたような姿勢になり、首や肩がガチガチになりがちです。
アームがあれば、画面の中心が目線の高さにくるよう微調整でき、自然な姿勢で配信に集中しやすくなります。
たとえば、数時間の歌枠や雑談配信のあとに「肩がバキバキ」「腰が痛くて立てない」といった経験がある人は、モニターの位置が低すぎたり、キーボードとの距離が近すぎる可能性があります。
モニターアームでディスプレイを少し奥に引いて目線の高さまで上げるだけでも、前のめりになりにくく長時間配信でも体への負担が軽くなるでしょう。
チェアについても、リクライニング機能やランバーサポート(腰当て)があるゲーミングチェアやオフィスチェアを選ぶと、姿勢を支えてくれるため疲れにくくなります。
座面のクッション性や肘置きの高さ調整ができるかどうかも重要で、マイクやミキサーの操作を頻繁に行うVライバーほど、腕や肩の位置が安定しているかどうかが作業のしやすさに直結します。
- 背もたれがしっかりしている椅子を選ぶ
- 腰クッションや座布団を追加して、腰とお尻をサポートする
- モニターアームで画面位置を調整し、猫背になりにくい環境を作る
配信は継続が何より大事なので、「体を壊して配信できなくなるリスク」を減らす意味でも、モニターアームとチェア周りの環境づくりは早めに取り組んでおきたいポイントです。
ゲーム実況をしたいなら「キャプチャーボード」
SwitchやPSなどの家庭用ゲーム機の実況をしたいVライバーには、キャプチャーボード(キャプボ)がほぼ必須の機材になります。
ゲーム機の映像と音声をPCに取り込み、配信ソフトでアバターやマイク音声とミックスして配信する役割を持つからです。
キャプチャーボードには大きく分けて、外付けUSBタイプとPC内蔵PCIeタイプの2種類があります。
外付けタイプはUSBで接続するだけなのでノートパソコンでも使いやすく、初めてVライバー機材をそろえる人にも向いています。
内蔵タイプは自作PCやデスクトップ向けで、遅延の少なさや安定性を重視するライバーに選ばれやすいモデルです。
- 対応解像度とフレームレート(例:1080p/60fps対応か)
- パススルー機能の有無(遅延を抑えてモニターに映せるか)
- 接続端子(HDMI入力・出力、USB-C/USB-Aなど)
- 自分のPCスペックと配信ソフト(OBSなど)への対応状況
とくにパススルー機能は重要で、これがないとPC上のプレビュー画面を見ながらゲームを操作することになり、遅延が大きくて快適にプレイできない場合があります。
パススルー対応モデルなら、ゲーム機 → キャプチャーボード → モニターとHDMIで直結し、モニター側では遅延をほとんど感じずに遊びながら、PC側では配信ソフトに映像を送ることができるでしょう。
実際の配信では、キャプチャーボードから取り込んだゲーム画面に、Webカメラでトラッキングしたアバター、マイクやオーディオインターフェースからの音声を重ねて配信します。
ゲーム実況を中心に活動したいVライバーは、PCの推奨スペックと合わせてキャプチャーボードの要件も事前に確認しておくのがおすすめです。
予算に余裕があれば、将来の4K対応ゲーム機や視聴環境も見据えて「1080p/60fps配信+4Kパススルー対応」のモデルを選んでおくと、長く使いやすくなります。
配信操作を快適にするStream Deckなどの「コントローラー」
配信中の操作をワンタッチで行いたい人には、Stream Deckなどの配信コントローラーが非常に便利です。
シーン切り替えやBGM再生、効果音、マイクのミュートなどを物理ボタンに割り当てられるため、マウス操作よりも素早く正確に動かせます。
代表的な製品であるElgato Stream Deckシリーズは、小さな液晶ボタンが並んだコントローラーで、ボタンごとにアイコンやテキストを表示し、OBSや各種配信ソフトの機能を割り当てられるのが特徴です。
配信画面のレイアウトを変えたり、アバターの表情差分を切り替えたり、SE(効果音)を鳴らしたりといった操作を、視線を画面からほとんど外さずに行えます。
たとえば、歌枠で「イントロ → 歌 → MC → 告知」と場面が変わるたびに、
- OBSのシーンを切り替える
- BGMのオン/オフを切り替える
- マイクのリバーブ(エコー)をオン/オフする
といった操作が発生します。
これをすべてマウスで行うと、画面を何度も切り替えたり、クリックミスで配信画面が真っ黒になったりするリスクがありますが、Stream Deckに登録しておけば1ボタンでまとめて切り替えられます。
- ボタンの数(6キー前後〜30キー程度までさまざま)
- 対応ソフト(OBS、Streamlabs、ブラウザ、音楽プレーヤーなど)
- マクロや複数アクションの登録機能の有無
最初は小型モデルから始めて、物足りなくなったらボタン数の多い上位モデルに買い替えるのも良いでしょう。
頻繁にシーンを切り替える企画配信や、BGM・SEを多用するVライバーにとっては、配信操作のストレスを大きく減らしてくれるVライバー機材になり得ます。
自宅でも音が響きにくい「防音アイテム」
賃貸マンションや家族と同居しているVライバーにとって、防音アイテムは「近所・家族とのトラブルを防ぐための保険」のような存在です。
完全な防音室を作るのは費用面でも技術面でも現実的ではないケースが多いですが、手軽な防音・吸音グッズを組み合わせるだけでも、声の響き方や音漏れの仕方はある程度変わります。
- 吸音パネル・ウレタンフォーム:壁に貼って声の反響(残響)を減らす
- 防音カーテン:窓からの音漏れや外からの騒音を軽減する
- 床用マット・ラグ:足音や椅子のきしみ音を抑える
- 簡易ボーカルブース:マイク周りだけを囲って声の直進音を吸音する
とくに、マイクの周りを吸音材で囲うタイプの簡易ブースは、歌枠や朗読配信で部屋鳴り(声が部屋で反射してこもる感じ)を抑え、音質をクリアにする効果が期待できます。
オーディオインターフェースやミキサーでどれだけEQやコンプを調整しても、元の部屋の響きが強すぎると限界があるため、物理的な対策もあわせて行うと良いでしょう。
- 壁際に本棚やクローゼットを置いて、隣室との間にワンクッション作る
- ドアの隙間に隙間テープを貼って、音と空気の通り道を減らす
- 窓には厚手の防音カーテンを二重にかける
といった工夫も有効とされています。
これだけで完全に音漏れを防ぐことは難しいものの、「壁一枚の向こうまで声がダイレクトに届く」状態はある程度改善できる可能性があります。
防音アイテムは、マイクやカメラのように目に見えて配信のクオリティが上がる機材ではないため優先度を下げがちです。
ただ、一度ご近所トラブルになってしまうと配信活動自体が続けにくくなる場合もあります。
夜に歌枠をしたい人や、テンション高めの雑談が多いVライバーは、Vライバー機材の一つとして早めにできる範囲の防音対策を進めておきましょう。
【予算別】Vライバー機材おすすめセットプラン
ここでは、Vライバー活動を始める人向けに、予算ごとのおすすめ機材セットをまとめます。
ゼロからそろえる前提で、「どの順番で」「どこにお金をかけると失敗しにくいか」が分かるように整理しているので、自分の予算感と配信スタイルに近いプランを参考にしてください。
まずは、3つの予算帯ごとに「主な配信スタイル」と「機材構成の考え方」を一覧表にしました。あくまで一例なので、実際の価格はセールや為替などで変動する点も踏まえて、目安として確認してください。
| 予算帯 | 想定スタイル | 主な機材構成 | 優先してお金をかけたい部分 |
|---|---|---|---|
| 〜3万円 | スマホ雑談や歌枠中心 | 手持ちスマホ+外部マイク+スマホクーラーなど | マイク・安定した接続環境 |
| 〜10万円 | PC配信・2Dアバター・高音質な雑談や歌枠 | PC+コンデンサーマイクまたはダイナミックマイク+オーディオインターフェース+Webカメラ | マイク周り・オーディオインターフェース |
| 10万円〜 | ゲーム実況+2D/3Dアバターの本格配信 | 比較的高性能なPC+キャプチャーボード+周辺機材一式 | PCスペック・キャプチャーボード・安定した音声周り |
次から予算帯ごとに、もう少し詳しく見ていきましょう。
〜3万円:スマホで今すぐ始めるお手軽デビューセット
〜3万円の予算なら、手持ちのスマホを活かす構成がおすすめです。
PCや高価なミキサーを無理に購入する必要はなく、最低限のスマホ配信機材をそろえるだけでも、リスナーにとって聞きやすい配信は十分目指せます。
- 外部マイク(スマホ対応のUSBマイクまたはTRRS接続マイク)
- スマホクーラー(長時間配信やゲーム配信ならほぼ必須といえます)
- 純正カメラアダプター(iPhoneやAndroid純正のUSB接続アダプター)
- スマホスタンド(三脚タイプまたはアームタイプ)
とくに重要なのが外部マイクです。
内蔵マイクから外部マイクに変えるだけで、「こもった声」から「よりクリアな声」に近づきやすいとされており、同じスマホでも印象が大きく変わります。
歌枠や朗読、雑談メインのライバーは、まずここに費用をかけると満足度が高いでしょう。
スマホに直接挿せるUSBマイクや、オーディオインターフェース不要で使えるコンデンサーマイクなど、スマホ向けモデルを選ぶと接続も比較的簡単です。
スマホクーラーと純正カメラアダプターは、前のセクションで触れたように、長時間配信の安定性や、外部機器をつなぐことでの音質・拡張性アップに役立ちます。
たとえば…
- 一回の雑談配信や歌枠が1〜2時間以上になりやすい
- スマホゲームをプレイしながら生配信したい
といった場合、スマホ本体の発熱やバッテリー消費がネックになりがちです。
スマホクーラーで熱を逃がしつつ、純正カメラアダプター経由で給電しながら外部マイクなどを接続すれば、スマホ1台でも比較的安定した配信環境を作りやすくなります。
意外と差が出るのがスマホスタンドです。
テーブルの上に直置きすると、通知を見るたびに本体が揺れて映像がブレたり、本体やケーブルに触れて「ガサガサ」というノイズが入りやすかったりします。
アーム付きスタンドや三脚を使って固定しておけば、表情トラッキングアプリを使う場合でも、アバターの動きが安定しやすくなります。
3万円以内でパソコンや本格的なオーディオインターフェースを追加するのは難しいため、「今あるスマホ+外部マイク+安定化アクセサリー」でスタートし、活動を続けながら徐々にPC環境へ移行するという段階的なイメージを持つと良いでしょう。
〜10万円:PCで高音質にこだわる本格配信セット
〜10万円の予算があれば、パソコンを使った本格的な配信環境をそろえやすくなります。
このプランではゲーム実況よりも、「雑談や歌枠、2Dアバター配信の音質と安定性」を重視した構成を想定しています。
- 配信用PC(エントリーからミドルスペックのノートPCまたはデスクトップ)
- コンデンサーマイクまたはダイナミックマイク
- オーディオインターフェース(1〜2chの入門モデル)
- モニターヘッドホンまたはイヤホン
- Webカメラ(フルHDで30fps以上、可能なら60fps対応)
まず軸になるのがパソコンです。
2Dアバター配信や比較的軽めのPCゲーム配信であれば、エントリーからミドルクラスのCPUとメモリ16GB程度のモデルでも活動可能とされています。
すでにPCを持っている人は、購入費用をマイクやオーディオインターフェースに回し、音質面の強化を優先すると良いでしょう。
マイクについては、前のセクションで触れたように、コンデンサーマイクは繊細で明るい音質、ダイナミックマイクは環境ノイズに強いという傾向が一般的です。
自宅が比較的静かで歌枠メインならコンデンサー、自宅の環境音が気になる場合や賃貸で夜配信が多い場合はダイナミックを選ぶと扱いやすいとされています。
どちらもXLR接続タイプを選び、オーディオインターフェース経由でPCに接続しておくと、将来の拡張性も高くなります。
オーディオインターフェースは、マイクの音を高品質にデジタル化する「音の入り口」として重要です。
1〜2ch入力の入門モデルでも、
- マイクゲイン(音量)の細かな調整
- ダイレクトモニター機能(自分の声を遅延なく聞ける)
- 高品質なヘッドホン出力
といった基本機能はそろっていることが多いです。
USBマイクからワンランク上の音質を目指したい人に向いており、歌枠でのピッチ確認や、BGMとのバランス調整もしやすくなります。
Webカメラは、表情トラッキングの精度に関わるため、フルHD(1080p)で30fps以上、可能であれば60fps対応のモデルを選ぶのが一般的です。
暗所性能やオートフォーカスがしっかりした商品なら、部屋の照明が多少暗くてもアバターが滑らかに動きやすくなります。
- PCがない人は、PCに5〜7万円ほどを充て、残りでマイクとオーディオインターフェース、Webカメラをそろえる
- PCがある人は、マイクやオーディオインターフェース、Webカメラ、ヘッドホンに集中して投資する
すでにスマホ配信で活動しているライバーが、「音質と安定性を一段引き上げたい」と感じたタイミングで、この構成への移行を検討すると良いでしょう。
10万円〜:ゲーム実況も快適なプロフェッショナルセット
10万円以上の予算が確保できるなら、ゲーム実況や3Dアバター配信も視野に入れたプロフェッショナル環境を目指せます。
このクラスになると、「とりあえず配信できる」から「長時間でも高画質で快適に配信しやすい」レベルへと踏み込むイメージです。
- 比較的高性能なPC(配信用とゲーム用を兼ねる、または2PC構成も視野)
- 高品質マイクと中〜上位クラスのオーディオインターフェース
- キャプチャーボード(SwitchやPS向けのパススルー対応モデル)
- 高性能Webカメラまたは専用カメラ+キャプチャーデバイス
- モニター2枚構成、モニターアーム、配信用チェアなどの周辺環境
ゲーム実況を快適に行うには、PCスペックとキャプチャーボードの2点が特に重要です。
フルHDで60fpsのゲームをプレイしながら配信ソフト(OBS Studioなど)を動かすと、CPUやGPUにかなりの負荷がかかります。
予算に余裕があれば、最新世代に近いミドルからハイエンドCPUと、ミドルクラス以上のグラフィックボードを搭載したパソコンを選ぶと安心度が高いでしょう。
キャプチャーボードは、前述のように「パススルー機能付き」で「1080p/60fps配信」に対応したモデルがゲーム配信の定番とされています。
将来的に4K対応ゲーム機の配信や高画質動画の録画も視野に入れるなら、「4Kパススルー対応」の商品を選んでおくと買い替えの頻度を抑えられます。
配信ソフトとの相性や、パソコンとの接続端子(USB-CやUSB-A、PCIeなど)も事前に確認しておきましょう。
音声周りでは、マイクとオーディオインターフェースをワンランク上のモデルにすることで、ノイズの少ないクリアな音質と、より細かな音作りがしやすくなります。
複数のマイク入力や、BGMや効果音、ゲーム音を個別にミックスできるミキサー機能付きインターフェースを選べば、コラボ配信や企画配信にも柔軟に対応できます。
この予算帯では、「配信環境そのものの快適さ」にも投資したいところです。
- デュアルモニターとモニターアームで、ゲーム画面と配信ソフトの画面を分ける
- 長時間座っても疲れにくいチェアを導入する
- StreamDeckなどのコントローラーで配信操作をまとめる
- 必要に応じて防音アイテムを取り入れ、夜間配信でも周囲へ配慮しやすい環境を整える
といった形で、作業のしやすさと体への負担軽減も同時に高めていくと良いでしょう。
毎日数時間のゲーム配信を続けるライバーほど、こうした周辺機材への投資が活動の継続を支えてくれます。
10万円以上のプランは、一度にすべてをそろえる必要はありません。
- まずはPCとマイク、キャプチャーボードで「配信の土台」を作る
- 次にモニターアームやチェア、防音アイテムで「快適さと安心感」を高める
- 最後にコントローラーや上位オーディオインターフェースで「演出や音作り」を詰めていく
というように、段階的にアップグレードしていくと無理なく環境を整えられます。
自分の配信スタイルと今後のイメージを思い浮かべながら、必要なVライバー機材を選び、少しずつプロフェッショナルな配信環境に近づけていきましょう。
まとめ:自分に合った機材を揃えて、Vライバー活動を始めよう!
ここまで、Vライバー活動に必要な機材を、PC・スマホからマイク、オーディオインターフェース、Webカメラ、キャプチャーボードまで一通り解説してきました。
まとめると、Vライバー機材選びで意識したいのは、①音質を最優先する、②配信スタイルに合わせてPCまたはスマホを選ぶ、③予算に応じて段階的にそろえるという3つの考え方です。
すべてを一気に購入する必要はなく、今の環境に1つずつ機材を足していくだけでも、配信のクオリティは着実に上がっていくと考えられます。
以下の表はあくまで一例ですが、自分の状況を整理する際に参考にしてみてください。
| 現在の状況 | 次の一歩でそろえたい機材 | 主な目的 | 目安になる予算帯 |
|---|---|---|---|
| これから配信を始めたい/スマホのみ所持 | スマホ向け外部マイク、スマホスタンド、スマホクーラー | 声の聞き取りやすさ向上、長時間配信の安定 | 〜3万円程度 |
| スマホ配信経験あり/PC配信にも挑戦したい | 配信用PC、コンデンサーマイクまたはダイナミックマイク、オーディオインターフェース、Webカメラ | 高音質な雑談・歌枠、2Dアバター配信 | 〜10万円程度 |
| PC配信中/ゲーム実況・3Dモデルに本格参入したい | 高性能PC、キャプチャーボード、上位クラスのオーディオインターフェース、周辺環境(モニターアーム等) | ゲーム配信の快適さアップ、長時間でも疲れにくい環境 | 10万円〜(構成により大きく変動) |
あなたの配信スタイルや予算に合ったVライバー向け機材を少しずつそろえながら、自分だけのアバターと声で、Vライバーとしての活動を始めてみてください。
環境づくりに絶対的な正解はありませんが、この記事の内容があなたが一歩を踏み出す際の判断材料の一つになれば幸いです。


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